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大阪府和泉市の放課後等デイサービス「就労準備型放課後等デイサービス 自由帳」
理学療法士で管理者の上野真博です😉
11月25日に「自由帳セミナー」の講師をさせていただきます。
現在、内容を精査中なのですが、、
せっかくなので、ブログに講演の内容をメモ代わりに書かせていただきます。
テーマ:中高生の放課後デイを運営してわかった!!
お子さんが大人になるための3つの準備
~お子さんが「力ずよく」「自分らしく」生きるためのトレーニング~
【講師紹介】5分くらい
就労準備型放課後等デイサービスを運営しておりますSmm株式会社代表の上野です。
まず、少し僕の経歴と自由帳を作った経緯からご紹介させてください。
僕は理学療法士というリハビリの仕事に21歳から15年ほど就いていました。
総合療育センターで生まれつき身体障がいがあるお子さんの手術後のリハビリをする病棟に勤務しました。その後、障がい児の保育園のような施設で0歳~6歳までのお子さんにリハビリを提供する仕事に就きました。その次はご自宅に訪問し、在宅で障がいをお持ちのお子さんにリハビリを提供していました。
3年前に訪問リハビリの仕事で勤めていた会社から「上野君、つぶれかけている就労継続支援B型の施設を買い取ったから立て直して」と言われB型施設の管理者を急にすることになりました。
このB型事業所の管理者に就いた経験が自由帳を作るきっかけとなりました。
はずかしいはなし理学療法士の頃の僕は、「体に不自由がなければみんな幸せな人生を送る」と信じて子どもたちに立ったり歩いたりのリハビリを提供していました。
でも、B型を覗いてみると「五体満足」にも関わらず、人生に絶望したり悩み苦しんでいる人がたくさんいました。
「どうして、この人たちはこんなに人生に苦しそうなんだろ?」
毎日、何人ものB型のご利用者様(メンバーさん)の様子を見たり、面談を繰り返す中で共通した課題を見つけました。
「この課題を学生のうちからトレーニングしておくともっと彼らは生きやすかったのではないか」
それが今日のテーマの「3つの準備」であり、自由帳を作った目的です。
今日は短い時間ですがよろしくお願いします。
【3つの準備とは?】3分くらい
①「自分で決めた」と言えるようになること
②自分について相手に説明ができるようになること
③自分に自信を持てるようになること
3つの準備が必要な理由はただ一つだと考えています。それは、「折れにくい心を作るため」です。
「二次障がい」という言葉をご存知ですか?
生まれ持って持っている障がい特性ではなく、後天的に持つ精神的な面からくる障がいです。有名なところでは「うつ」や「強迫性障がい」などです。
障がい特性をお持ちのかたは、健常な方と比べるとこの「二次障がい」が発症しやすいと言われています。脳の構造上の問題もあるかもしれないと言われていますが、直接的には「心に大きくストレスを抱える状態が続く」ことが要因ではないかと言われています。
自由帳に通われいる方の中にもこの二次障がいに苦しんでいる方がいらっしゃいます。
僕が管理者をしていたB型でも多くの方が2次障がいを発症し日々悩み苦しんでいる方がいらっしゃいました。
2次障がいは一度発症するとなかなか改善することが難しく、その後の人生の質に大きな影響を与えます。大切なのは、症状が発症する前に「傷つきにくい心」を作るためのトレーニングをすることだと考え自由帳を作りました。
極端に言うと、二次障がいを発症しなければ人生につまずいてもなんどもやり直せます。
そのために必要な3つの準備を一緒に考えていきましょう。
【準備1「自分で決めた」といえるようになること】10分くらい
●メリットもデメリットも含めて自分で決めること
「子どもに自己決定をさせることが大切だよ」という話は耳にタコができるほど皆さん聞いてきたかと思います。
でも、私たちもそうですが実際に社会に出ると自分で決められることってそこまで多くないですよね。全部自分で決めていると恐らく社会でいきていけないと思います。
仕事を始めると出勤時間は会社のルールに合わせなきゃいけません。挨拶をしなきゃ初めは怒られますし、最後には誰からも煙たがられる存在になるでしょう。
自分で、出勤時間も挨拶をするかも実際は決めることはできません。
自分ルールが通用するのは、学生の時期までか18歳以上だと一部の福祉サービスを生涯使い続ける場合くらいだと思います。
社会に出るとほとんどの場合、就労先のルールにしたがったり、社会のルールを守る必要があります。
周りの人たちの意見や常識に従わなきゃ白い目で見られることもあります。
では、耳にタコができるほど聞いたことがある「自己決定の大切さ」とはなんなのでしょうか?
僕はこう考えています。自分が嫌でも組織や社会のルールに従う必要があった場合は「ルールに従うと自分で決めて会社や組織に入った言えること」です。
会社に所属している場合でお話すると
定時に出勤することや、会社で同僚に挨拶することがいくら嫌でもその会社で勤務することを希望したのは自分です。最悪、その会社でしたい仕事があったとして、それを天秤にかけてでも時間に縛られたくないや挨拶がどうしても嫌なら辞めることもできます。その会社で働くことを「自分で決めた」なら「ルールに従うことも込みで働くことを自分で決めたと言えることが大切」です。
これは、福祉サービスを今後利用する場合も同じです。福祉サービスは制度の中でルールがあるので、利用を希望するならルールの中で利用する。そのルールが合わないのであれば「利用しないと自分で決める」ことが18歳以降は必要です。
「親子で出来る「自分で決めたと言う」トレーニング」
①生活の中で「自分で決める」機会を出来るだけ多く作ってあげてください。
例:新しい服を買うときに自分で選んでもらう
外食をするときにどの店に行くか決めてもらう
②選ぶ前に選択肢を2〜3つ教えてあげてください
③それぞれの選択肢のメリットとデメリットを全て伝えてあげてください。
④お子さんが選んだら「自分で決めたこと」を確認して褒めてあげてください
⑤選んだことで、いい結果や悪い結果になった際に再度「自分で決めたこと」を褒めてあげてください。
●人のせいにしないこと
「自分で決めたといえること」のもう一つの大切さとして、「人のせいにしない」ということがあります。
今後、お子さんはたくさんの人から「アドバイス」や「こうするべき」といった助言をたくさんもうらうと思います。
そこで大切なのは、「最終的には自分で決めた」と思えることです。人からもらったアドバイスで動いた結果上手くいかなかった時に「上手くいかなかったのは○○さんのせいだ」と思う習慣を減らす必要があります。
その理由は、「自分で決めた」と思えると次は失敗しないようにするための工夫をすることが自分の中できるからです。
アドバイスをした相手のせいにすることは、相手の考えに依存したり上手くいかなかった時に相手を責めたり恨んだりする心の動きが発生しやすいのであまり生産的ではありません。また、詐欺などの犯罪に騙されることにもつながります。
・人のアドバイスは参考にするが最後に「決めるのは自分」
・相手を信用したり期待するというのは「自分が決めたこと」裏切られたと感じても裏相手は悪くない
急には無理ですが、この2つの考えを身に着けるだけで人とのコミュニケーションはとても楽になり上手くいきます。
僕が管理者をしていたB型事業所で「苦しんでいた方々」の多くが、今の自分の上手くいっていない人生は「○○さんのせいだ」という思いが強い方でした。中には「亡くなられているお母様のせいで自分の人生はボロボロだ」「親なんだから自分をもっとちゃんと育てるべきだった」と毎日恨みを話されている方もいました。
自分がコントロールできるのは自分だけで、相手をコントロールすることはできない。
こういった気持ちの整理は大人でも難しいことです。すごく納得して自分の物にすることが時間がかかる分、人に頼る機会がどうしても多くなる障がいをお持ちの方には子どもの時期から学んでいただきたい考え方です。
【トレーニング】
お子さんには「お母さんの考えはこうだけどあとは自分で決めてね」と伝えるような関わり方をすることが必要かもしれません。
自由帳でも同じような声かけをお子さんにすることがあります。僕の経験では、A君とBさんが喧嘩して関係が修復できてない場面でA君に一定のアドバスをしてから「これはA君とBさんの問題だから上野は関係ないからね、あとは知らん!!」と距離をとったことがあります。なんか仲直り頑張ってできていました。
支援されることに慣れてしまうと、お子さんたちは自分の課題は支援者の課題でもあるかのように勘違いしてしまうので、「今の課題は誰の課題か」を明確にする必要が時には必要かもしれません。
【準備②自分について相手に説明ができるようになること】10分くらい
●自分の特性や得意や不得意を説明できること
社会に出て就労したり集団の中に在籍する際に、自分がどんなことが得意でどんなことが不得意かを説明できることはとてもたいせつな力です。
就労だと入職する前の面接の段階で、自分がどんなことが得意で苦手なことや苦手な環境はどんななのかを伝えておくだけで自分に合わない環境を避けられたり自分の力を存分に発揮できる環境で仕事や役割を担える可能性が高くなります。
逆に、上手く自分の得意不得意が伝えられなかったり、見栄をはって「なんでもできます」「どんな環境でも頑張れます」と伝えてしまうと、自分に合わない環境でずっと苦しむことにもなりかねず、就労を続けられなかったり自分にあった居場所をうまく見つけられなかったりに繋がります。
例えばお仕事の場において自分が苦手な環境を伝える場合のいい例と悪い例です。
いい例:私は大きい音が苦手なので静かな環境であれば集中して作業ができます。
私は、耳で聞いてメモするのが苦手なのでメモを書いて渡していただけるととても助かります。
悪い例:私は自閉症なのでこの仕事ができません。
いい例の場合、自分が苦手な環境とこうすれば仕事に取り組める環境になるという改善案を相手に伝えられていますのでお仕事の場でも職場での理解が進みやすいと思います。
悪い例の場合、相手の印象は「働くことが難しいっていうことかな?」と改善案がない分どう対応していいのかとても困ってしまいます。
出来るだけ、具体的に伝えることが必要なので例えば自分の長所短所や特性について紙にまとめておくと効率的に相手に伝わりやすいかと思います。
自由帳でもグループワークの中で、まず紙に自分の長所や趣味などをまとめて記入してみんなの前で発表する取り組みを良く行っています。
なんども、人に伝える機会を作ることが大切で慣れてくると質問されてもすぐ答えられるお子さんもいらっしゃいます。
私たち大人でも急に「あなたの長所は?」と質問されるとパッとは出ないものなので、やはり普段から紙にまとめたり人に伝える機会を持つ方がいいと思います。
●SOSを伝えられるようになること
大人になり社会に出て学生の時と大きく変わることは、「学校や放課後デイのように教員やスタッフがずっと自分の様子を見てくれている訳ではないと言うことです。」
B型は必要なスタッフの人員は放課後等デイサービスと同じですが、ご利用者様を受け入れることが出来る定員は放課後デイの倍の20人になります。物理的に放課後デイのように常に様子を観察することが難しくなります。
障がい者雇用においては、自分の周りの同僚や上司は「支援者」ではなく「同じ目標のために働く仲間」になります。同僚と支援者との違いは、「同僚」「仕事」をしに職場にきているので常に障がいをお持ちの同僚に気を向けてはいません。
学生と「就労した大人」での大きな違いはこの部分です。
大人になると、自分が体調不良や何か困っている時などの「SOS」は自分自身で伝えないとなかなか気づいてもらえません。
僕が管理者をしていたB型事業所でもこのような事例がありました。
Aさんという精神障がいの方がいらっしゃいました。いつも、急に作業を中断してソファーに寝転びに行くのでスタッフが「仕事の時間は最後まで作業してください」と度々注意を受けていました。
観察していると、ある作業の時に急に離席してソファーに寝転びにいくようでした。
面談の場を持って、話を聞いてみるとその作業の工程をしていると細かい作業なので途中で気分が悪くなってしまうとのこと。
「そんなこと言わなくても伝わると思っていたが、再三注意されたので腹がたったので毎回言わずに離席した」とのこと。
Aさんはお若い方で、少し前まで放課後デイを利用していました。今までは、自分が少し体調が悪くなったらスタッフが声をかけてくれていたらしいです。
卒業後に就労される方がぶつかる壁として、福祉サービスと仕事の差がとても多いです。
大人になるまでに、自分がサインや言葉でSOSを伝えないと相手は気づいてくれないと言う意識付けがとても大切になります。
●SOSが出せる場所を見つけておく
職場以外でもSOSのメッセージを出せる場所を見つけておくことも今後必要です。ご家族でもいいとは思いますが、内容によってはご家族にも話せない内容も思春期から大人にかけては出てくる可能性もあります。
病院のカウンセリングや自助会などなど地域にどういった社会資源があるのかを調べておいてもいいかもしれません。
和泉市には自由帳も会場の提供を行っている「和泉ハッタツ友の会」があります。現在は3か所の自助会を和泉市内で開催しています。
自由帳で開催しているのは、家族会で発達障がいのお子さんをお持ちのご家族さんが集まって情報共有等を行っています。
【トレーニング】
お子さんが自分からSOSを発信するまで少し待ってみる
自由帳では、関わりの中でお子さんが何か課題に取り組んでいる時に「わからないことがあったら声をかけてね」と伝えてわざとお子さんから距離をとってスタッフが事務作業をするふりをすると行ったトレーニングをお子さんとの関係性が出来上がってきたタイミングで実施しています。
お子さんの特性や関係性によっては、話しかけたそうなお子さんの様子を確認して「わざと」忙しそうに振る舞う場合もあります。経験を積んで行くとお子さんがスタッフに「〇〇さん忙しくなくなったら教えてね」など声かけが出来るようになるお子さんもいらっしゃいます。
11月25日開催「自由帳セミナー」の内容公開②に続く
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最後まで読んでくださった方大好きです❤️
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